絵の具に「肌色」がない？3原色で作れるリアルな肌色の作り方

絵を描こうと思ったのに「肌色の絵の具がない」と困った経験はありませんか。

実は、赤・黄・白などの基本的な色を混ぜるだけで、自然でリアルな肌色を自分で作ることができます。

この記事では、初心者でも失敗しにくい肌色の作り方を、絵の具と色鉛筆の両方でわかりやすく解説します。

また、「肌色」という言葉が使われなくなった理由や、現在主流となっている「うすだいだい」「ペールオレンジ」といった呼び方についても紹介。

混色のコツを覚えれば、人物の肌をもっと自然に、もっと自分らしく描けるようになります。

肌色の作り方｜基本の考え方を知ろう

絵を描いていて「肌色がない」と焦った経験、ありませんか。

実は、肌色は特別な色ではなく、身近な3原色から簡単に作ることができます。

ここでは、なぜ絵の具セットに肌色が入っていないのか、そして肌色を自分で作る基本の考え方を解説します。

なぜ12色の絵の具に肌色が入っていないの？

12色入りの絵の具セットには、メーカーによって「肌色」が入っていない場合があります。

理由は、肌色が一つに決められないからです。

人の肌の色は、明るい肌から日焼けした肌まで幅広く存在します。

つまり「肌色」は1色ではなく、混ぜて作る多様な色だということです。

メーカー	肌色の表記
サクラ	うすだいだい
ぺんてる	ペールオレンジ
ホルベイン	スキンカラー（肌色）

このように、同じ「肌色」でも名称や色合いが異なります。

だからこそ、自分で作る技術を覚えておくと、どんな場面でも対応できます。

肌色は「混ぜて作る」色

肌色は「赤・黄・白」などの基本色を混ぜ合わせて作ります。

この3色がそろっていれば、肌の明るさやトーンを自由に調整できます。

特別な絵の具がなくても、自分の肌色を再現できるのがポイントです。

次の章では、実際にどの色をどのくらい混ぜればいいのか、具体的な作り方を紹介します。

絵の具で作る肌色の3つの方法

肌色を作るには、いくつかの混色パターンがあります。

ここでは、最も再現しやすい3つの方法を紹介します。

混ぜる順番や比率を理解することで、失敗しにくい美しい肌色が作れます。

赤・黄・白で作る肌色

もっとも基本的な方法です。

まず赤と黄色を混ぜてオレンジを作り、そこに少しずつ白を加えましょう。

赤が多いと血色のよい健康的な肌に、黄が多いと落ち着いたトーンの肌になります。

色の割合	仕上がりの印象
赤：黄：白＝1：1：2	一般的な明るい肌色
赤：黄：白＝2：1：3	赤みのある温かい肌色
赤：黄：白＝1：2：2	黄みがかった健康的な肌色

白を入れすぎると顔色が悪く見えるので注意が必要です。

赤・黄・青で作る肌色

青を少量加えることで、落ち着いたトーンの肌が作れます。

赤と黄色でオレンジを作り、そこにごく少しの青を混ぜるのがポイントです。

青を入れすぎると一気に灰色っぽくなるので、筆の先につける程度でOKです。

青の量	仕上がり
ごく少量	自然で落ち着いた肌色
やや多め	日焼けしたような肌色

この方法は、大人の肌や影の部分に使うとリアルさが増します。

オレンジ＋白で作る肌色

オレンジが手元にある場合は、さらに簡単です。

オレンジと白を混ぜるだけで、明るく柔らかい肌色が作れます。

この方法は子どもの絵やキャラクターイラストにおすすめです。

混色の比率	印象
オレンジ：白＝1：1	やや濃い肌色
オレンジ：白＝1：2	明るい肌色

白を混ぜるときは、筆の先で少しずつ様子を見ながら調整するのがコツです。

自分の描く人物の肌に合わせて、少しずつ色を変えてみましょう。

思い通りの肌色に近づけるためのコツ

肌色を作るときは、色のバランスや混ぜ方を少し工夫するだけで印象が大きく変わります。

ここでは、より自然で透明感のある肌色を再現するためのポイントを紹介します。

初心者でもすぐに実践できる、混色の「ちょっとしたコツ」を覚えておきましょう。

黒を使わずにトーンを落とすには？

肌色を暗くしたいとき、つい黒を混ぜたくなりますが、それはおすすめできません。

黒は色を濁らせてしまい、自然な肌の質感が失われるからです。

暗めの肌色を作りたいときは、黒ではなく青を少しだけ混ぜましょう。

青を加えることで、落ち着いたトーンを保ちながら、自然な陰影を表現できます。

混色方法	仕上がりの印象
赤＋黄＋青（少量）	自然な日焼け肌
赤＋黄＋黒（少量）	くすんだこげ茶色

また、影を表現したい場合は、黒の代わりに紫や茶色をほんの少し混ぜても効果的です。

黒を使わないことが、絵に深みと透明感を出す第一歩です。

透明感を出すときは「白」ではなく「水」を活用

白を混ぜすぎると、肌の色が粉っぽくなりがちです。

特に透明水彩を使う場合は、白ではなく水で薄めるのが基本です。

水を使って明るさを調整すれば、肌の透けるような質感を自然に表現できます。

調整方法	仕上がり
白で明るくする	粉っぽく平面的な肌色
水で薄める	透明感のある柔らかい肌色

アクリル絵の具など不透明な絵の具を使う場合は、水を控えめにして薄塗りを意識しましょう。

筆圧や水分量を調整することで、肌の質感をコントロールできます。

色鉛筆で肌色を作る方法

絵の具だけでなく、色鉛筆でも肌色を表現することができます。

ただし、色鉛筆では混ぜるのではなく、塗り重ねて色を作るのがポイントです。

ここでは、初心者でも簡単にできる基本の塗り方と、より立体的に見せる工夫を紹介します。

基本は黄色と赤の重ね塗り

まずは黄色をベースとして薄く塗ります。

その上から赤を軽く重ねると、自然な肌色に近づきます。

このとき、筆圧を強くせず、優しく何度も塗り重ねるのがコツです。

使用する色	目的
黄色	ベースとなる明るさを作る
赤	血色感をプラス
茶・青（少量）	影や立体感の表現

赤と黄の2色だけでも、十分リアルな肌色を作ることができます。

影をつけたいときや上級者向けの工夫

顔の輪郭や頬の影などを表現したいときは、青や茶色を軽く重ねてみましょう。

特に青は、影の深みを出すのに効果的です。

さらに上級者は、オレンジやピンク、紫などを少しずつ重ねて、血色や陰影を微妙に変化させる方法もあります。

追加する色	効果
オレンジ	温かみのある肌色に
ピンク	頬や鼻先の血色を表現
紫	影のリアルな立体感を演出

重ね方次第で、透明感や陰影の出方が大きく変わります。

焦らず少しずつ重ねることで、肌に自然なグラデーションを作れます。

“肌色”という呼び方はもう古い？

これまで「肌色」と呼んできた色ですが、最近ではこの呼び方自体が使われなくなってきています。

ここでは、その理由と、現在使われている新しい呼び方について解説します。

絵を描くうえで、正しい色の表現を理解しておくことはとても大切です。

なぜ「肌色」という色名がなくなったのか

かつては絵の具やクレヨンに「肌色」という色が存在していました。

しかし、時代の変化とともに「肌の色は人それぞれ異なる」という考え方が広まり、この呼び方は使われなくなりました。

「肌色」という表現が一部の人種や文化を排除してしまう可能性があると指摘されたためです。

年代	肌色の呼び方
〜2000年代初期	肌色（スキンカラー）
2005年以降	うすだいだい・ペールオレンジ

この動きは2000年代半ばから加速し、メーカー各社が「肌色」の表記を順次廃止しました。

現在は「うすだいだい」や「ペールオレンジ」といった名称で販売されています。

「うすだいだい」「ペールオレンジ」という新しい呼び方

これらの名前は、より中立的で多様性を尊重した表現として採用されています。

「うすだいだい」は日本語の伝統的な色名であり、優しいトーンをイメージさせます。

一方、「ペールオレンジ」は英語表現で、やや明るく現代的な印象を与えます。

色名	イメージ
うすだいだい	柔らかく自然な肌色
ペールオレンジ	明るく軽やかな印象の肌色

これからは「肌色」というよりも、「うすだいだい」「ペールオレンジ」といった表現で伝えるのが自然です。

絵の世界でも多様な肌の色を尊重することが、表現の幅を広げる第一歩になります。

まとめ｜混色を覚えればどんな肌色も作れる

ここまで、絵の具や色鉛筆を使った肌色の作り方を紹介してきました。

ポイントを押さえれば、特別な色を買わなくても自分だけの肌色を再現できます。

最後に、今回の内容を振り返りましょう。

人物ごとの肌の色を描き分けるコツ

肌色は一色ではありません。

赤や黄の比率を変えるだけで、白い肌、日焼け肌、血色のある肌など、さまざまなトーンが作れます。

黒を使わず、青や水を活用することで、自然な立体感を出すのがポイントです。

目的	調整のポイント
明るくしたい	白や水で薄める
暗くしたい	青を少量加える
血色を出したい	赤を多めにする

自分のイメージする人物に合わせて、肌色を微調整できるのが混色の魅力です。

練習すると見えてくる「自分の肌色」

混色は慣れが大切です。

最初はうまくいかなくても、少しずつ色を足していくうちに、理想の肌色が見つかります。

人それぞれの肌の個性を大切にしながら、色の世界を自由に楽しんでみてください。

練習のコツ	効果
試し紙で混色を確認	失敗を防げる
乾いたあとにもう一度見る	実際の色味が分かる

混色の経験を重ねるほど、あなたの絵に深みと個性が生まれます。

肌色づくりは、絵の中で人を生き生きと見せるための大切な技術です。

今日からぜひ、自分だけの「肌色」を探してみてください。